夜布庵那は飽き飽きしていた。

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それでも不可能なことは不可能。どっちみち美少女召喚は失敗する。 庵那は最期に“普通はやらないようなこと”をしでかして、自分の人生を“普通”から逸脱させて終えるつもりでいるのだ。 そう考えると彼は無性にわくわくしてきた。 本当に最期の最後……自分の普通な人生すら最期を異常に、そして異様に締め括ることで周りに自分という人間の生きた痕跡を残してやることが出来る。 そして普通から逸脱出来たことでこのマンネリ化した人生ともおさらばだ。もう未練は無い。 そうと決まれば早速庵那は行動を起こした。 召喚と言えば何が必要か? 勿論召喚用の魔法陣だ。 高鳴る鼓動を必死に抑えるようにしながら、庵那は台所に走り込んだ。 そして目についた戸棚を隈なく漁りだす。 何を探しているのかなんて自分が一番わからない。魔法陣に使えそうなモノであればなんだってよかった。
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