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「新婦は、新婦を生涯妻とし、幸せや喜びは共に分かち合い、悲しみや苦しみは共に乗り越え、永遠に愛する事を誓いまか?」
誓いの言葉だ。普通なら、『誓います』と一言言えば良いのだが、なぜか新郎はこう言った。
「あの日俺は、顔も性格が違っても……たとえ俺を覚えていなくても……愛してやるって約束した。だから誓います!」
新婦は思わずうれし涙を流した。言っている意味なんて半分も理解できないだろう。でも、その言葉は、凄く心に響いたらしい。
「ありがとね……約束覚えていてくれて……」
「え?今なんて?」
あまりにも小さい声だったため、聞こえなかった。新婦はただにっこり微笑むと、新郎の唇に唇を重ねる。その時、進行役だった神父さんは合図なしのキスに戸惑っていたが、そんなの関係はない。新郎と新婦はただただ、幸せだったのだから。
*
人は何のために生まれて来るのだろう。考えた結果、生まれたわけなど人それぞれ違うと思う。それは当然なのだ。ただ一つ、勘違いしてはいけないことがある。
それは行動しないと、何も掴めないということだ。俺はずっと勘違いしていた。偉大なことを成し遂げた人は、そういう運命だったのだと思っていた。人生を楽しく過ごせる人は、そういう性格だからと思っていた。
それは大きな間違いだ。誰だって行動すれば偉大になれる。行動すれば人生を楽しく過ごせる。運命や性格の所為にして、ただ特別な事を待っているだけでは何も起きない。
俺は勘違いしていたのだ。運命の彼女と出会うために、俺は生まれてきたのではない。たった一人の、運命の彼女を『探し出す』ために生まれてきたのだ。運命の人が近くにいるとは限らないが、その人は絶対にいる。互いに探し合っているのだから、いつか必ず出会うだろう。人はそれを運命と呼ぶのかも知れない。
黙っていても死を待つだけの運命……それが嫌なら行動するしかない。何のために自分が生まれて来たのか、それを決めるのは自分なのだ。
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