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沖田は、息を潜め男が来るのを待った。
静寂の中、沖田の呼吸だけが路地に響く。まるで無。
すぅと息を吸ったその時、
『ジャリ』
と足音がなる。沖田は、刀の杖を握り男の前に出た。
『何で私の後をつけるんです?お侍さん。』
男は、ニヤリと笑う。不気味なまでに口の端をあげて。
「分かってるくせに……。
一番隊組長沖田総司さんよ。
お前の命を貰いにきた。我、同志の仇、受けてもらう!!!」
男は、沖田に向かって走った。
渾身の一撃を決めた………筈だった
「………ばか…な……」
沖田は、くすりと笑う。
『私を相手するんですから、死ぬ覚悟はありますよね?
今度は、私から行きますよ!!』
沖田は、一歩踏み出し刀を向ける。刀は、男の肩をとらえた。少し触れただけだったが…………
「何で………!?」
血が肩から
『バッシャ』
宙に舞い、沖田にかかる。だが、それが沖田をもっと美しく見せる。
『だから言った筈です。
私の相手をするという事は、死を覚悟する事だと』
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