閉ざした心

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急に一人きりになった部屋で ふと思い出したのは、前の家のこと。 前の家は酷かった。 俺は雑用係としても働き 夜はアイツの性欲処理としても ストレスを吐き出す捌け口としても利用された。 殴られるのは当たり前。 だけど、俺にはそれ以外に生きていく方法がなかったから… 我慢するしかなかった。 それが、あの大雨の日。 なんの前触れもなく道端に俺は捨てられた。 まるで…いらないゴミのように。 「…ろ、ひろ!」 「ふぇっ?」 いつの間にか後ろにたっていた太輔様。 「どうしたの? 何回よんでも返事ないし、心配しちゃった。」 「すいません。」 俺が謝ると、 また、頭を撫でてくれた。 この人は優しい。 だけど、いつかまた捨てられる。 だから絶対に心を開くわけにいかない。
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