§2

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「……っ…」 思わず手で口を押さえる。 ……しまった。 つい、“昔”のこと言っちゃった…。 「……」 チラリと横目で氷露を見る。 氷露はどこか遠い瞳をしながら、寂しそうに微笑んでいた。 「……では、和食でよろしいですか?」 「う、ん……」 「わかりました。少しお待ちくださいませ」 ――… ―――…… 明日の用意をしてもらって、制服も綺麗にしてもらって。 することのない俺はただぼんやりと窓の外を眺めていた。 すると襲ってくるのは眠気で……。 なんとか我慢したものの、やっぱり睡魔に耐えることなどできず、俺は眠りの世界へと誘われていった――…。 ……夢の中で、幼い頃の氷露と会ったのだろうか。 優しい優しい笑顔で、俺の額にキスをしてくれたように感じた。
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