§3

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「―…あぁ、氷露」 どうやら目が合ってしまったようで、その男は氷露の名前を呟いた。 そして、ツカツカと靴音を鳴らしながら俺の席の前へと来た。 ……いや、氷露の前といった方が正しいかもしれない。 「氷露、これからは一緒だね」 「!?」 その言葉に驚いて、俺はその男の顔をまじまじと見る。 一方、氷露は難しい顔をしていた。 「…未来様」 「氷露」 未来という男は有無を言わさぬ笑顔を浮かべる。 そして言った。 「氷露は僕のだよ…。ね?」 それは、氷露に向けて言ったのか、俺に向けて言ったのか――…。 俺がそれを解りかねていたとき、またもやドアが開く音がした。 入って来たのは、髪の毛をきっちりとまとめおだんごにした、厳しそうな女の人。
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