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「―…あぁ、氷露」
どうやら目が合ってしまったようで、その男は氷露の名前を呟いた。
そして、ツカツカと靴音を鳴らしながら俺の席の前へと来た。
……いや、氷露の前といった方が正しいかもしれない。
「氷露、これからは一緒だね」
「!?」
その言葉に驚いて、俺はその男の顔をまじまじと見る。
一方、氷露は難しい顔をしていた。
「…未来様」
「氷露」
未来という男は有無を言わさぬ笑顔を浮かべる。
そして言った。
「氷露は僕のだよ…。ね?」
それは、氷露に向けて言ったのか、俺に向けて言ったのか――…。
俺がそれを解りかねていたとき、またもやドアが開く音がした。
入って来たのは、髪の毛をきっちりとまとめおだんごにした、厳しそうな女の人。
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