§3

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「皆さん、席についてください」 どうやらその人は先生のようだ。 「全員、出席ですね。 私はこのクラスの担任の国崎と申します。」 クラス中を見回し、“これからよろしくお願いします”と一礼した。 「早速ですが、もうすぐ入学式が始まりますので、体育館に移動をお願いします」 それだけ言って、国崎先生は教室を後にした。 「麗留様、行きましょう」 氷露は俺を見て、微笑んでるけれど。 心ここにあらず、ってかんじ。 「……うん」 俺は頷いて立ち上がった。 そして廊下に出たのはいいものの、先生の姿はもう見えない。 「…氷露、どっちに行けばいいの?」 「こちらですよ」 「……先生も不親切だね…」 “も”と言ってしまったことに後になってから気付く。
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