187人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうですね」
でも氷露はさほど気にしていないようで続ける。
「これも、執事養成科への訓練でしょう。
今日初めて足を踏み入れたこの校舎から、迷わずにお連れできるかどうかの」
「………ふぅん…」
前を見ながら答える氷露の横顔を見て、俺は声を漏らした。
その刹那、氷露は何かに気付いたのか、俺をかばうようにして後ろを振り返った。
そこにいたのは、さっきの未来という人。
「…ど、う…なされましたか?」
警戒態勢を崩さないままで氷露は尋ねる。
「氷露に用は無いよ?
その子にちょっとあるだけで」
“借りるね”と言い、スルリと俺の腕をとる。
「!?」
「僕は冷泉未来。君は?」
「………水原…麗留」
「麗留くんかぁ…。
…ってことは、君がこの学年のトップ?」
最初のコメントを投稿しよう!