§3

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「そうですね」 でも氷露はさほど気にしていないようで続ける。 「これも、執事養成科への訓練でしょう。 今日初めて足を踏み入れたこの校舎から、迷わずにお連れできるかどうかの」 「………ふぅん…」 前を見ながら答える氷露の横顔を見て、俺は声を漏らした。 その刹那、氷露は何かに気付いたのか、俺をかばうようにして後ろを振り返った。 そこにいたのは、さっきの未来という人。 「…ど、う…なされましたか?」 警戒態勢を崩さないままで氷露は尋ねる。 「氷露に用は無いよ? その子にちょっとあるだけで」 “借りるね”と言い、スルリと俺の腕をとる。 「!?」 「僕は冷泉未来。君は?」 「………水原…麗留」 「麗留くんかぁ…。 …ってことは、君がこの学年のトップ?」
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