平凡×イケメン

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桜咲いたら一年生。 真新しいものは、3ヶ月も経てば大概馴れる。 1つを除けば。 イケメン君は諦めを知らない。毎日懲りずに告白してくれるのは、男なら一度くらいそんなモテ期にあってみたいと願望を持つよ…相手は女の子限定だけど。 男…同性同士じゃ無いよ? ここは共学の筈なのに、なんでオレ? 「いい加減、付き合っちゃえよ」 担任、無責任にも程がある発言をするな。 馬鹿が図に乗るだろうっ。 イケメン君は風紀委員長らしい。 非公式だけど、ファン倶楽部だか親衛隊だかいるらしい。 毎日、オレが拒否してるのを、馬鹿らしいが恋愛相談なるものまでしているらしい。 目の前には、美男美女の集団がいる。 口々にイケメン君が不憫だと、この3ヶ月のイケメン君の様子を赤裸々に語ってくれる。 「暁生(あきお)様は―」 「暁生様がー」 「暁生様にー」 「暁生様とー」 …イケメン君は暁生(あきお)と言う名前らしい。 「「可哀想なので、暁生様と付き合ってあげて下さい(×20名)」」 …何、この嫌がらせ。 「今ならお買得物件、将来有能株です!!」 美女がオレの手を両手で握り、全身で寄り掛かる様に隙間無く密着し豊満な胸を押し付けて、哀願する。 「友達なんて、耐えられない」 「好きです、貴方しか欲しくない」 「恋人として付き合って」 「佐伯君、お願い💕」 潤んだ瞳で、上目遣いなんて、犯罪級の可愛さ。 女の子に免疫の無いオレは陥落した。 「はい」 熱に浮かされた様に、ふわふわした意識で、返事した。 目の前の美女は愛らしい満面の笑顔で、勇ましいガッツポーズを。 「やりましたよ、暁生様!!」 …え? 「ありがと、愛川」 …ええ? 「ちょっ」 「良かったなぁ」 「イヤ、違くてっ」 「おめでとう✨」 口々に、皆さま祝賀ムードを漂わせるが。 …認めてないよ💦 オレ、まったく認めてないんだけど💦 「佐伯君、男に二言は無いわよね!!」 「ありがと、愛川✨」 「暁生様に喜んで戴けて、幸せですぅ💕」 え? ナニコレ、何の罠? 衆人監視の中で、オレは主張する。 「エッチ無し、お触り禁止の、プラトニックな付き合い以外は認めん!!」 昭和のお父さん発言に、イケメン君が泣いた。 「何でやねんっ」 ツッコミたいのは、オレの方だよ!!
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