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少しドキドキして。ワクワクする。
そう言えば女にプレゼントを贈るなんて久しくしてなかった。
「ただいま」
買った荷物と、丸さんに押し付けられた大人の玩具詰め合わせ……を持ち。マンションに戻って玄関を開けると、寝室の明かりが点いていて。足元には宇佐美の黒パンプスが転がっていた。
寝てるのかな。まだ十時だけど、朝早く出社する日は早く寝るって言ってたから。いつもの出迎えてくれる声が聞こえなくても、別に。気にならなかった。
でも、靴が適当に脱いである。これは気になった。宇佐美はいつもちゃんと靴を揃える。オレのも。
必ず整理整頓するのに。なんか、おかしい。
何よりおかしいのは――目の前の廊下に滴っていた血痕だ。裸足で歩いたのか、血の足跡と。少しソレを拭き取ったような跡が、ある。
「宇佐美……?」
胸がざわつく。
変な音がする。何かを叩くような。
開いている寝室の扉。部屋の中を覗くと、奥の床に座り込み。振り上げた両手で床を一心不乱に叩いている宇佐美が居た。
「宇佐美! ――宇佐美っ!!」
右手首を掴み。振り向かせて抱き締めた。
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