露子のトロッコ

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*** しばらくしてトロッコの終着点についた。 あたしの目的の場所。 「あ、露子ちゃん。 待ってたんだよ。 遅いから心配したよ」 頭にバンダナを巻き顔をマスクで被った男が近寄ってきた。 あたしはこの人を『おじさま』と呼んでいる。 全く素性はわからない。 この仕事はそういう依頼者が多いからあまり気にしない。 所謂、『訳あり』ってヤツ。 「ごめんなさい。 ちょっとトラブって……」 あたしはペコペコと謝まる。 「火薬は?」 おじさまはトロッコの中を覗き込みあたしに尋ねる。 「ここにあるじゃないですか」 ぐいっとあたしはトロッコを指差す。 「これは違うよ、露子ちゃん」 おじさまは首を傾げ腕組みをした。 「え?」 何言ってるのよ、全く……。 「……ヒッ!」 これは! あたしは驚き腰を抜かし失禁した。 『何で助けてくれなかったの? 露子ちゃん……』 トロッコの中にはぐしゃぐしゃになった聡子が入っていた。 あたしが殺した聡子。 あたしは……。 初めて『運び屋』の依頼を失敗した。 そんなあたしを聡子はあざ笑ってる……。 聡子もあたしが憎かったのだとこの時わかった。
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