8733人が本棚に入れています
本棚に追加
/107ページ
「俺は別にいいんですけどね。えっと、隊長さん?」
男の発言を目で促す。
「チッ、聞きこみが終わり次第戻るからな!」
憤慨しながら大股で出ていく男。リザイアは下を出している。あの男のことがあまり好きではないようだ。
「さて、腹ごしらえでもしますか。」
「賛成だ。」
戸口から目を離して答えるリザイア。ケイトはカウンターの下の木箱に目を向ける。
「木箱の後ろに隠れてるミラはどうする?」
「は?」
ゴンとカウンターの下から鈍い音が響いた。リザイアは身を乗り出して木箱の辺りを見つめている。目が点になっている。
「裾見えてるから。出ておいで。」
少し待っていると、渋々といった具合にミラが出てきた。服も肌も擦り傷だらけ、いたるところが土埃にまみれてしまっている。腕に抱えているのは布に包まれた何か。
「ミラ様!ご自分が何をしておいでかわかりますか!」
「職務放棄しようとしていた人の台詞じゃないでしょう。」
ケイトの言葉に渋い顔をしているリザイア。たった今職務放棄しようとしていたことをミラは知っているのだ。
「話すこともあるでしょうが、ご飯にしましょう。ミラも食べる?」
「私は…。」
何かを言おうとして、代わりにミラの腹が小さく鳴いた。それを返事と取り、ケイトは台所へと消えていく。
「ミラ様、何故誰にも何も言わず出ていったのですか?」
「だって、私は…。」
目が吊りあがり、ミラを睨みつけるリザイア。おどおどとするミラ。
「飯食うなら手伝ってくれ!ただ飯は許さねえぞ!」
リザイアが説教を続けようとして、奥から大声が聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!