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「わ、わ、なんですか、これ?」
「ん?鳥肉。」
そう答えて自分も席につき、うどんを啜り始める。リザイアはまだ渋っている。
「リザイアさん、冷めますよ?」
そこでリザイアは漸く席についた。ミラは何も気にすることなく、かしわ天に齧り付いている。よほど腹が減っていたのだろう。
「ミラ、飯食い終わったら本題だからな。」
「むっ!?」
危うくうどんを吹き出しそうになりながら、目を見開いてケイトを見るミラ。ケイトはうどんを自分のうどんを見ている。リザイアはミラの横顔を見ている。
「今は飯だ。早くしないとさっきに隊長さんが来るぞ。」
そう言われて慌てて食べるミラとリザイア。ミラの顔が暗く見えるのは気のせいではないだろう。
「ケイト君、これはどうやって作るんだ?」
「え?これってうどんのことですか?」
ほとんど空になっている器を指差しながらリザイアに訊き返すケイト。その返事は頷くことで返ってきた。
「小麦粉を水で練るんですよ。この国はあまり水が豊かではありませんが、森の中の沢に行って水を汲んで、蒸留すれば普通に使えますからね。村に井戸もありますけど、使える回数を決めているし、あの水は畑に使っていますから。」
「え?」
「ん?」
驚いた顔をしているミラ。何について驚いているのかわからないケイト。リザイアも訝しげな表情を浮かべている。
「ああ、そういうことか。」
何か納得した様子のケイト。器も箸も置き、ミラに短くこう告げた。
「ミラ、毎日湯浴みできるのは金持ちだけだぞ。」
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