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翌日。
朝から町に鎚の音が響き渡ち、人々は鎚の音で目を覚ます。
「ケイト!鎚を大きく振りかぶりすぎだ!」
「はいっ!」
「ケイト!もっと刃を寝かせな!」
「はいっ!」
修業に熱が入っている。
「洗濯終わったかー?」
「今やってます!」
「お昼はまだかい?」
「もう少しで出来るんで!」
家事も弟子の仕事。彼に休む暇なんて無い。
飯を食ったら、また修行。修業の合間に家事。一日の修業が終わったら、一人で復習。そして家事。
誰より早く起きて、誰より遅く寝る。これがケイトの日課となる。
鍛冶師の腕と研ぎ師の腕が上がっていく。家事スキルも上がっていく。
この星では、時間は太陽で決まる。日が出ていれば昼間。沈んでいれば夜。ケイトは日の出と共に家事を始め、日の入りと共に修業を終える。
そんなある日。
「すんませーん。」
「はーい!」
やる気の無さそうな声に呼ばれ、玄関まで赴くケイト。
この鍛冶屋に来客は珍しい。彼が修行していた五年間でも来客数は三桁にならないだろう。
「この鍛冶屋の人間か?武器作って欲しいのだが。」
玄関に立っていたのは中年の男。ケイトを見下したような目をしている。
「ああ、少々お待ち下さい。ししょー!お客様ですよー!」
ケイトが奥に向かって叫ぶと、すぐにカグルが出てきた。
「ああ、あんたが鍛冶屋主人か?ギルドで働いてるんだが、武器が壊れてしまってな。新調したい。ギルドの古株は皆あんたの武器を使っているしな。」
カグルに対しても態度が変わらない。
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