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「断る。俺は客を選ぶんだ。」
「なんだと?俺は客だぞ。金ならある。」
尚も態度を変えない男。
「お前さんにここを教えたのはロブ辺りだろう。お前は武器を打ってもらえない、とか言われなかったか?」
男よりもよっぽど鋭い眼つきで問うカグル。ケイトは両者の顔を見比べている。
「俺は俺の認めた奴にしか打たない。」
ロブと言う名の人間は認めたということだろう。
「なら、俺のどこが気に入らない!」
憤る男。ケイトは焦ってはいるが怯えてはいない。カグルは焦ってすらいない。
「それも解らないようじゃ、永遠に打たねぇよ。帰りなハナタレ。」
洟垂れ呼ばわりされた男は散々文句を言った後、帰って行った。
「師匠?なんで依頼受けなかったんですか?あの態度ですか?」
師の行動に対する疑問を口にするケイト。
「…惜しいな。まぁ、他の客も見ていればその内解る。」
のそのそと奥へ入っていくカグル。ケイトも慌てて追い、この日の家事と修業の続きをする。
「すみませーん!」
数日後、また来客のようだ。
「はい、何か御用ですか?」
来客に対応するケイト。
「あ、この鍛冶屋の人?新しい武器が欲しくてさ。」
若い男。先日の男とは別の方向で礼儀がなっていない。ただ単に敬語が苦手な類の人間だ。
「ししょー!お客さまですよー!しばし、お待ちを。」
少しすると前回同様に奥からカグルが出てくる。が、今回は男を見た途端に、ほぉ、と声をあげた。
「お前さん、歳は?」
突然客の年齢を確認するカグル。
「あい?ああ、二十二だけど?」
訝しげな表情をしながら質問に答える男。
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