プロローグ

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休日の午前中。 自室でベットに腰掛けながら何かを見ている男がいる。 この男、名は金森 経一。現在は十五歳の健全な高校一年生だ。 彼の部屋にノックの音が響く。 「なに~。」 間延びした声でノックに答える。 「ケイちゃん、また読んでるの?」 扉から顔を出したのは一人の女性。頭にはアホ毛。年は経一と同じくらいだろう。経一が見ているのは何かの書物のようだ。 「まぁね。好きだし。 あ?英理姉、いつ来た?」 英理姉と呼ばれた少女から手元の書物に目を戻したが、すぐに彼女を見る経一。 彼女は蓮井 英理。経一の従姉。経一の一つ年上の女の子で、母方の従姉だ。 「さっき。伯母さんが入れてくれたよ?」 それを聴いた経一は額に片手を当て、母さん、と呟いている。 「好きだねー、武器。」 「好きだなー、武器。」 そう、経一が見ていたのは自身が調べて作った、武器の図鑑のようなもの。 「やっぱり刃物?」 「俺はね。何かを傷つけることが目的だけど、装飾とか刃の模様とか美しさがある。」 どこか誇らしげに返事をする経一。なぜこの男は誇らしげなのだろう。 「お姉ちゃんには解らない世界だね。」 「好き好きだろうからね。銃のほうが好きって人もいるだろうし。特に興味が無い人もいるだろうし。」 素っ気なく答える経一。英理は慣れているのか、気にする様子はない。 「ほら、外に行こ!天気も良いし!ずっと部屋の中にいたら頭に茸生えるよ!」 経一の腕を引いて立たせようとする。が、自ら立ち上がる気配は無い。 「生えねぇよ。」 空かさず突っ込みを入れる。 経一は結局立たされて外に連行された。
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