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「今は何の武器を使ってる?」
このカグルの質問に驚いているのはケイト。カグルの後ろから男を観察し、以前の男とは何が違うのかを見比べている。
「剣だよ。両手剣。」
ケイトを気にもせずにカグルと対話する男。
「なるほどな。だが、もったいないな。」
「何がだよ?」
何かを考え始めたカグルに不機嫌そうな顔を向ける男。
「お前さんは剣を力で振っている。両手剣よりも軽いものを使った方がいいだろう。」
「あんた、俺を見ただけでそこまで判るのか!?」
驚く男。ケイトも声には出していないが驚いている。
「見れば大体判る。腕ばかりに筋肉が付いているからな。どうだ、槍を使ってみる気はないか?」
「槍?」
「ああ、槍だ。」
カグルが男に提案した武器は槍。
「そんなもん、使ったことねぇよ。」
断ろうとする男。
「誰か使える奴に聞けばいい。試しに使ってみな。」
そう告げて勝手に奥へ入っていくカグル。
「一週間くらいしたら取りに来い。金もその時でいい」
一度振り返り言葉を発した後、今度は本当に奥に入った。
「勝手な師で申し訳ありません。一週間後、お待ちしております。」
ケイトも男を見送り、カグルの後を追った。
「師匠、どうして今回の人は依頼を受けたのですか?」
自分の疑問を口にするケイト。
「お前はあの若者をどう感じた?」
仕事の準備をしながら返事をするカグル。
「あ、はい。先日の男性よりも勢いがあると。」
自分の印象をそのまま答えるケイト。
「俺は眼が気に入ったんだ。この間の奴とは違って良い眼をしていた。あいつがこれから名の通るようになるかは知らんが、俺は手助けをしてやるだけだ。」
と言い残し、鍛冶場に入る。
「あ、待って下さい!!」
ケイトも慌てて準備を済ませて鍛冶場に入る。今日も彼の修業が始まる。
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