修行

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カグルが腰を強打した数日後に、大臣の遣いが剣を受け取りに来訪し、宝剣を持って行った。代わりに置いて行ったものは今回の報酬と王族の結婚式の招待状だった。結婚式は本日。宝剣の納品が済んでから約一月後のことである。平民である彼らが王族の結婚式に出席することなんて普通はできるはずもない。大変名誉なことである。これを平民風情が断るのは不敬に値する。 値するのだが…。 「もぅ、しっかりご年齢を考えて下さいね。これから行ってきますから。」 「うるせぇ。さっさと行ってこい。」 横になっているカグルの枕元に座っていたケイトから注意を受けるが、不貞腐れたかのように背を向けているカグル。腰痛が治らないのである。本来ならばカグルとアンが行く予定であったが無理。というわけで、結婚式へは代理としてケイトが行くこととなった。アンは面倒臭がっているが、行かないと色々まずいため行くようだ。 結婚式の会場は以前ケイトが包丁を届けに行った街。この街に住む貴族の許へ王の妹は嫁ぐ。ここでこの国の結婚のことについて触れよう。簡単に言ってしまえば、王族は国の存続のために子孫繁栄が義務のようなものとなっている。よって一夫多妻だ。しかし、国民達は大家族を持てるほど裕福ではない者が多く、子孫繁栄を王族ほど重視されていない。よって法により、国民達は一夫一妻制だ。とは言いつつ、平均初婚年齢が低いため子供が多い家庭はかなり多い。ケイトの母、ツバキもケイトを出産したのは二十代前半だ。
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