鍛冶師ケイト・マクスウェル

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「どのお客さんも大金払って満足して帰って行きましたよ。まだ自分にはそんな行動できるような度胸も力量も経験も無いのでやりませんがね。と、いうわけで、修理と鍋で銀板三枚です。」 改めて対価を要求し、女性も価格に文句が無いようで財布から金を出す。金を払い終えた女性は片手に鍋を入れた布。反対の手に剣を持って外へと向かう。戸口に手を掛けると何かを思い出したかのように振り向き口を開いた。 「そうそう、今度から修理を受けた時は代わりの武器を渡すようにした方がいい。でないと修理が終わるまでろくに仕事ができないからな。」 言い終わると、今日はいい買い物をしたと呟いてから笑顔でケイトの家を出ていった。残されたケイトは小さな声でありがとうございました。と呟き、今日の午後の予定を決めるのである。女性からのアドバイスを受け、何かしらの武器を作るつもりだ。 「ケイちゃん?」 そう幼い声が聞こえて顔を上げるケイト。戸口が僅かに開き、童達が顔を覗かせている。その様子にケイトは苦笑した。 「お前達、ずっと待ってたのか。」 童達は戸を開きぞろぞろと入ってくる。特に何をするということではなく、部屋を見渡したりカウンターの下を覗いたりと特別な事はしていない。ケイトはケイトで童達を好きにさせている。が、鍛冶場と物置には決して入れない。物置には鉄や木材、炭など様々なものが入れられており、中には刃物もあるため危険だ。錠も付けられている。鍛冶場は言わずもがな。
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