鍛冶師ケイト・マクスウェル

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麺つゆを作っていたケイトは、頃合いを見て寝かせていた生地を取り出し、うどんの形にしていく。つゆの匂いに釣られて台所を覗きこむ姉妹。この国の人間にとって、ケイトの家の中は驚きの連続だ。知らないことが山ほど詰め込まれている。うどんもその一つ。形が整いつつある朝食を見てリザイアの腹はもう一度大きく鳴った。 後ろの姉妹の視線を感じつつも、ケイトは麺を茹でる。すでに薬味の準備は終わった。味見もした。椀を取り出し準備は万端だ。 「もう出来ますから座っていてください。」 後ろを見ることもせず、姉妹に告げるケイト。急に話しかけられた二人は慌てて席についた。それほど待つことも無く、ケイトが湯気の立つ椀を持って現れる。腹が減っているリザイアは口の中に唾液が溜まりつつある。 「はい、お待たせしました。」 リザイアとケイトの前に置かれた椀には白い麺と色の濃いつゆが入っている。麺の上には鮮やかな緑の薬味。ケイトの前には箸、リザイアの前にはフォークが置かれた。 どう食べるのかわからなかったリザイアだったが、ケイトを見て麺を食べるものだと理解する。初めて食べるものだったので最初の一口は恐る恐る、二口目からは徐々に勢いがついて口の中へと詰め込んでいく。 そして椀とフォークを静かに置いて息を大きく吐いた。ケイトは未だ食事中。 「…初めて食べたが、結構美味かった。」 「お腹空いていたみたいですしね。」 そう言ってケイトはまた食べる。数分後にケイトも食べ終えた。
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