鍛冶師ケイト・マクスウェル

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「次の質問です。利き手はどちらですか?」 「左だ。」 「失礼します。」 そう言ってリザイアの左手を取り、注視する。肉刺が何度も潰れたようで、その努力が伺える。困惑するリザイアを尻目に、ケイトは彼女の剣の柄を見る。 「最後の質問です。どのような武器を使いたいですか?」 「えっと、その前に手を放してほしいのだが。」 「あ、すみません。」 少し驚いた様子で、リザイアの手を放したケイト。乱暴に放すのではなく、そっと優しく放した。相手が女性であり、気遣いもあるのだろう。 「武器の形状だったな。そうだな…打ちあって勝つのは難しいから、斬るよりも突くことを目的とした武器なんかがあると助かる。」 「突く武器ですね。柄の長い槍のような武器と柄の短い剣のような武器、どちらがいいですか?」 「剣のほうがいい。長年剣を使っているからな。そのほうがしっくりくる。」 「わかりました。では、そうですね…。納得がいく物を作りたいので、五日ください。それまでに仕上げます。」 ケイトの中でイメージは固まった。リザイアは話が思いのほかあっさりと終わってしまったため、どこか不満げな様子。自分の使う武器についてあまり話せていない。 「お金の話は五日後に。ま、特注ですから、大体金貨一枚くらいです。」 「あ、こら!」 そう言うと、ケイトはさっさと外の物置に向かう。困ったリザイアは姉を見るが、彼女の顔も困ったと言っている。家の主がどこかへ行ってしまったので、帰ろうかという話になり、家を出ようとカウンター辺りまで歩いていた二人。その時、家の戸が勢いよく開いて、 「ケイちゃん、起こしにきたー!」 童達が入ってきた。
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