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「ケイちゃん、誰かが鍛冶場を覗くと怒るんだ。危ないだろって。怒ると怖い、と言うか、拳骨が痛すぎるんだよね。頭凹むかと思うし。」
この口ぶりからすると、この女子も怒られたことがあるようだ。
「村の大人も怒られるのか?」
「え?う~ん、そういえば村の大人に怒ってるのは見たこと無いな。」
リザイアの質問に考えこむ女子。そもそもケイトの家には童達が集まる。時々大人も来るが、主に童だ。
「大人が怒られないのは、危ないことを危ないこととして認識しているからだ。君ももう少し大きくなったら、この鍛冶場に近づいても怒られないと思うぞ。」
「…うん、頑張ってもっと大きくなる!ありがと、おばさん!」
「おば!?私はまだ二十三だ!お姉さんと言ってくれ!」
憤慨するリザイア。先程の姉のようにおばさんとお姉さんの境界について語る。姉も最初は笑っていたが、自分がリザイアよりも年上であることを思い出して妹と共に語る。その内、境界について意見が食い違ったため、姉妹での言い合いになる。その隙に女子は籠を背負って逃げてしまった。それでも白熱していく姉妹喧嘩。
すると、音が止んだ。二人も、もう打ち終わったのかと顔を向ける。ザッザッと足音をたててケイトが顔を出した。
「五日後。」
汗だくなケイトが出てすぐに戻った。トマス姉妹の顔は恐怖に染まっている。完全に据わっていた彼の双眸は、うるせぇから帰れと言っていた。早く帰ろうそうしようと話は纏まり、トマス姉妹はさっさと帰って行った。
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