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「さあ、早く戻って来い。頭に何か巻いて止血しよう。」
「はーい。」
ケイトは持っていた大錘を適当に置き、リザイアの許へと戻る。女子はケイトの様子を見て安心したようだ。そんなこんなで治療は終わる。布を巻く際に、リザイアが加減を間違えてケイトが悶絶したのは内緒だ。
「はい、確かに金貨一枚と銀板三枚頂戴いたしました。」
「うん。何かあったら次も頼むよ。」
「はい、お待ちしています。本当は壊れないのが一番いいんですけどね。」
「ははっ、違いない。」
剣の代金を渡し、リザイアは笑顔でケイトの家をあとにする。今家にいるのはケイトと女子の二人だけ。リザイアと長い時間駄弁っていたこともあり、中途半端な時間となっている。
「ケイちゃん、今日はこれからどうするの?」
「んー?なんも考えてねえな。鉄打つは打つけど、時間的に小さいのしか無理だしな。」
「ふーん。…じゃあさ!」
女子が何かを提案しようとした時、部屋の中に小さな音が響いた。一瞬ピタリと動きが止まり、すぐに腹を押さえた女子。彼女はフルフルと小さく震えている。
「…まあ、なんにしてもまずは腹ごしらえだな。」
そう言うとケイトは、女子の頭に軽く手を乗せてから、返事も待たずに家の奥へと消えていった。すぐに家の中に良い匂いが充満し、さらに食欲を刺激する。彼女の腹は、飯はまだかと騒ぎたてている。
「できたぞー!」
少し時間を置いて、家の奥から彼女を呼ぶ声が聞こえた。
ケイト・マクスウェルの日常は基本的に平和である。
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