ケイトの友

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「誰かいるかぁ!」 静寂を破って、野太い男の声が家の中を木霊する。普通に入ってきた。寧ろ堂々と入ってきた。驚いて体がびくりと跳ねたが、幸いどこにもぶつからなかったため誰も気付かない。 「いないのかぁ!」 再度奥へ向かって叫ぶ男。かなり大柄な男だ。二度目の声で鎚の音が止まった。男の後ろから一人の女性が顔を覗かせる。リザイアだ。 「隊長…。」 「ちょっと待っててくれ!」 リザイアが男に話しかけようとした瞬間に、家の裏手から大きな声が聞こえてきた。その後、少しの間鎚の音が続いた。音が収まってからそうしないうちに、家の奥から肩に手拭を掛け、汗だくになっている男が一人出てきた。隊長と呼ばれた大柄な男よりは小さく感じる。左腕に何かを嵌めているようだ。 「いらっしゃいま…あれ?リザイアさん、もう剣だめになりましたか?そんなに柔な打ち方をした覚えはないんですけど。」 「なんだリザイア、知り合いか?」 この汗だくの男はもちろんケイト。隊長と呼ばれた男はケイトがリザイアの名を知っていることに気付き、ケイトの紹介を促す。 「はい、隊長。彼はこの剣を打ってくれた鍛冶師でケイト君です。突然すまないな、ケイト君。今日は剣の事じゃない。そしてこの剣は快調だ。」 「ケイト・マクスウェルです。若輩ながら鍛冶屋を営んでおります。剣の事は安心しました。それでは今日はどのようなご用件で?」 カウンターの下に身を隠す彼女は、上の彼らの話を聞いてひどく驚いた。今、自分の目の前に見える足は、たった一人の友人のものなのだ。
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