第一章Ⅲ contract《契約》

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そのおかげか彼女の話に感動し、涙を流すクラスメイトたちに『誤解していた』と謝られた。翔人は誤解が解けてよかったと喜んだが、彼女のことが余計わからなくなった 翔人は記憶力はいい方だが彼女に面識などないし、親戚に外人がいるなんて一度たりとも聞いたことがない。つまりはほぼ間違いなく全て嘘なのだ。クラスメイトにした話も親戚だという話も そして今何故一緒に帰っているのかと言えばセラスに誘われたからだ。『親戚同士、一緒に帰りましょ?積もる話もありますし』と。翔人も聞きたいことだらけだったので了承した 翔人はこのまま悩んでも答えは出ないと判断して隣を歩くセラスに話しかけた 「えっと……セラスさん、だっけ」 「セラスさんだなんて他人行儀な呼び方しないでくださいよ。昔みたいに『セラちゃん♪』って呼んでください」 「えっと……じゃあ、セラ」 「はい。何でしょう♪」 「聞きたいんだけどさ……本当に俺たち親戚なのか?失礼ながら俺、まったく覚えてないんだけど……」 「ちゃんと親戚ですよぉ!忘れるなんて酷いじゃないですかぁ」 セラスはわざとらしく『よよよ』と泣くようなマネをした。翔人は苦笑いをしながら謝った 「ご、ごめんよ。ちょっと忘れてるだけだと思うから。いずれ思い出すと思うから」 セラスはそれを聞くと先ほとまでの明るいニコニコとした笑顔ではなく、気味の悪いニヤリとした笑顔を浮かべた
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