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「思い出すわけないじゃない。初対面なんだから」
「………え?」
翔人は余計混乱した。彼女の言葉も理由の一つだが、どちらかと言えば彼女から今までの感じていた愛想の良さが完全に消え去ったことが大きかった
「でもさっき親戚だって……」
「まぁ、親戚よ?生きとし生ける物、全て海から生まれた親戚みたいなもんじゃない」
「なんてアバウトな………じゃなくて!じゃあお前はいったい誰なんだよ!」
セラスはイタズラを楽しむ子供のような顔で返した
「単純に言うならば、私はアナタとは違う種族の生き物よ」
「……じゃあなんだってんだよ」
「そうねぇ……まぁ、教えてあげましょうか。誰もしばらくはこの道を通らないだろうし」
彼女は夕日をバックにニヤニヤしながら告げた
「私はヴァンパイアよ」
「………は?」
「わからない?日本語で言うなら吸血鬼ね」
「そりゃわかるが……」
「まぁ、ただただ『私はヴァンパイアです。信じて下さい』ってのも無理な話よね。そうねぇ……とりあえず」
セラスはカバンを開き、中から何かを掴んで引っ張り出した。それは柄に輪が付いたサバイバルナイフだ
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