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セラスは右手でナイフを引き抜き、器用にくるくるとナイフを回して刃を下に向け、自分の左腕を切りつけた。傷付いた腕からだらだらと血が流れ出てくる
「な、何やってんだよ!早く止血しないと……」
「あぁ。安心して。そんなんいらないから」
「いいから!ちゃんと見せろ!……あれ?」
傷の具合を見ようとセラスの腕を掴んだ翔人だったが、傷はキレイに消えていた。彼が傷以外を見たのは先ほど顔を見ながら言った『いいから!』という言葉を発し、目を離した一瞬だけでそれまでちゃんと傷はあったのにだ
「私くらいのヴァンパイアともなればこの程度の傷なんて一瞬あれば直るわよ」
「………手品?」
「アンタも諦めが悪いわねぇ。いい加減認めなさいよ」
「だ、だってよ、普通ヴァンパイアってのは太陽の下に出たら焼け死ぬはずだろ?」
「あれは創作よ……あ、でもエミリーおば様は酷い日光アレルギーで日を浴びるとすぐ爛れたみたいになってたわね」
「………そうなのか」
「そうなのよ。てかいい加減疑りの目を向けんな。あーもう!話が進まない!とりあえず私はヴァンパイア!OK!?」
「お、おう」
「んで!私はアナタの力を借りるためにここにいるの!」
「は?」
「だ・か・ら!アンタの力を借りに来たのっ!」
理解が追い付いていない翔人、そして理解が追い付いて来ないのに苛立つセラス。お互い頭痛がしてきたところで翔人の家が見えてきた
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