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「力ってどんなだ?」
「そりゃ色々よ。私の力は体の部位ごとにあったの。例えば左手」
セラスは自分の左手を翔人の目の前に突きだし、話を続けた
「私の左手には自分の下僕を作る力があったの。生き物でも無機物でも触れて力を使えば触れた対象は私に従順な下僕になる力がね」
「でも今は使えないと」
「そういうこと。結構困るのよねぇ、あの力がないと。まぁ、それは置いといて本題よ」
左手を戻し、一度目を閉じて改めて彼女は翔人の顔を見た
「私がここに今生きているように他の私の体がそれぞれいろいろな場所にいてもおかしくないわよね?」
「まぁ、そうだな」
「仮にいたとして、いろいろ疑問があるわけよ。例えばそれぞれの考え方は同じなのか、とかね」
「どういうことだ?」
「そうねぇ……」
彼女は制服のポケットからメモ帳とボールペンを取りだし、紙に『A』『B』と縦に並べて書いた
「例えば昼食に食べられるものにグラタンとスパゲッティがあったとするわ。で、Aの私はグラタンを選んだとする」
彼女は紙の『A』の横に『グラタン』と書き加え、『B』の横に『グラタン or スパゲッティ』と書き足した
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