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「それはわかるんだが何で俺なんだよ」
翔人は茶をグビグビと飲んでいるセラスに疑問を投げ掛ける。彼が最も腑に落ちないのがそこだった
彼は多少なりともケンカの心得もあるし、ある程度ケンカ慣れしているがそれ以外はごくごく普通の高校生だ。特別な力なんて持ってないし、未だに吸血鬼のようなファンタジーを信じきれてすらいない
「まぁ、アンタは自覚ないでしょうねぇ」
「何がだよ」
「まだ眠ったまんまのアンタの素質」
「素質?」
「アンタには私の契約者になる素質があるの」
「何じゃそりゃ」
「魂にはそれぞれ形と器がある」
セラスはまたメモ帳に丸、三角、四角の図形を描いた
「それぞれの形は生まれたときに形成されて以後、とんでもないことが起きない限りは変わらない。故に魂の形がまったく同じ生き物は存在しない」
彼女はさらにひし形や星型を書き加えた
「でも極稀にまったく同じ形の生き物が生まれるときがあるのよ。でもそれは何百年、何千年単位で生まれるから出会うことはない」
「…………………」
「でも………私は封印された。そのおかげでこうして出会った」
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