第一章Ⅰ Tradition《伝承》

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昔々、あるところに大きくて立派なお城がありました そこには清楚で優しく、美しいお姫様とその家族や親戚が住んでいました お姫様はその国では珍しい黄色人的な肌の色と真っ赤なバラのような瞳、そして長い金髪を持っていました お姫様は歌が大好きで、毎日お昼になると城のテラスで歌いました。民衆はその美しい歌声を毎日楽しみにしていました そんなお姫様を国中の王子様や伯爵様たちは妻に迎えようと、たくさんの贈り物を持ってお姫様が住まう城へと向かいました ですが城に向かった王子様や伯爵様たちはいつまで経っても帰ってきませんでした たくさんの人びとが不思議に思いましたが、『お姫様の元に残って帰りたくないと思ったのだろう』とか城への道には途中に深い崖があるのでそこに落ちてしまったのではないか、と噂していました そんな中、王子や伯爵が帰らないのを不思議に思った隣の国の王子様と騎士が真相を確かめるためにお姫様の住む城へ向かいました 王子様と騎士は崖から落ちるのを心配して、馬車ではなく、半日かけて徒歩で向かいました 三日後、王子が帰ってきました服はボロボロで脇腹から血を滲ませて這うように帰ってきました
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