6人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・・・・・・・決めた。俺もう人助けやめる」
学校帰りの高校一年生、九里村翔人は気だるそうに言った
「そんなこと言って止めた試しないだろ」
呆れたように彼の左横を歩く男子高校生、 青田澪は返した
「そーそー。そのセリフ月いちで聞くしねー」
翔人の右横を歩く女子高校生、黒川西和も相づちを打った
この三人は同じ高校に通う幼なじみである。今日は高校に入学して初めての登校日。新入生の授業は午前で終わったので『放課後どこに行こうか』という話をしていたところ、唐突に翔人が言ったのだ
「で?今回の原因は?」
「不良からしつこいナンパを受けていた女の人を助けたら、その人に『ア、アリガトウ。それじゃ!』と言われた」
「?別にへこむよーなことないじゃーん」
「超苦笑いだったんだよ、その人。絶対感謝なんて一切してない。あるのはただ単に恐怖心」
「お前悪人面だからなぁ。目付き悪いからそう思われるんだ」
「そーそー。もっと笑顔笑顔ー」
西和は翔人の前にぴょんっと飛んで振り返り、満面の笑みを作って見せた
それを見て、翔人は自分なりの笑顔を作って二人に見せた
「こ、こうか?」
「うーん・・・・・・」
「えっとー・・・・・・」
二人は顎に手を添えて考えるようなしぐさをしてから翔人を見て言った
最初のコメントを投稿しよう!