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「「気持ち悪い」」
翔人は無言で拳を澪の頭に思いっきり降り下ろした
「痛ッ!なんだよ!素直に言っただけじゃんか!」
頭を押さえながら澪がそう言うと翔人はため息を吐いてから言った
「・・・・・・・・・ブン殴っていい?」
「もう殴っただろうが!やるなら西和だろ!」
翔人は拳を作ったまま、西和を睨んだ。すると西和は翔人にすがり付いた
「私ー・・・・・・・・・澪に言えって脅されてー・・・・・・ぐすん」
「こう言ってるが?」
「贔屓だ!明らかなる贔屓だよそれ!」
「ゴチャゴチャうるせぇ」
「ギャーッ!痛いってー!西和ぁ助けてくれよぉ!」
「大丈夫ー大丈夫ー。むしろードMの澪ならーご褒美でしょー?」
「俺ドMじゃないから!」
彼らはいつも仲良くこんな風に家まで帰っていた。いつもの並木道、いつもの住宅街、いつもの景色を見ながら
だが、彼らは気付かなかった。一つだけ、いつもとは異なるものが景色に混じっていたのを
それは並木道近くの住宅の屋根の上にしゃがんでいた。金色の髪を右側でまとめた真っ赤な瞳の小柄な少女だ。少女は三人のうちの一人を指で作った輪から覗いていた
少女は三人が途中で曲がり角に入り、見えなくなるとくすりと笑い、立ち上がった。金色の髪を風になびかせながら嬉しそうに言った
「素質ある奴、みーつけた♪」
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