第一章Ⅱ Encounter《出会い》

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◇ 彼、九里村翔人は損な生き方をしている男であった 昔から困っている人を見ると助けずにはいられない性格で、いろいろなことをしてきた 横断歩道がなかなか渡れず困っているおばあさんを見れば、背負って道を渡る 自動車に引かれそうになっている子供や猫を見れば、自分の危険も省みず飛び込んで助ける 路地裏に連れ込まれてカツアゲにあっている人を見れば、カツアゲしている連中を全員なぎ倒す 果てには事故にあって死にかけている人に応急措置を施して救急車を呼び、命を救った、なんてこともあった そのせいか、他校の生徒や近所の奥様方、近くの会社の社長さんまでもが彼を知っていた。だがしかし、それは尊敬や関心、好意から来るものばかりではない それは彼の悪人面、もとい目付きの悪さに原因がある 彼の目付き悪さはいくら彼が正しい心の持ち主だとしても、ほとんどの人々からは『何か裏があるのでは』と考えずにはいられないほどなのだ 気だるそうな口調と愛想の無さも手伝って、『危険人物』のレッテルが張られ、怖がられている そんな彼にカツアゲをしていたところをブチのめされ、復讐せんと襲ってくる不良集団や、『いい人ぶってる偽善者』と翔人を忌み嫌い、何かといちゃもんをつけてくる(やから)も多い
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