プロローグ 死にたがり

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「はなしてください。チカン。ヘンタイ!!」  俺が何も言わないことをいいことに、生意気な少女は俺に罵詈雑言を浴びせながら、ジタバタ暴れだした。 しかし、俺と少女の力量差は歴然で、少女は俺の馬乗りから抜け出せない。 暴れるたびに少女の制服にしわが増える。 確かにこれじゃ本当に俺はチカンでヘンタイかもしれない。  とはいえ、俺に意味の分からない怒りをぶつけられても、どうすることもできない。 自殺を止めるようになんて言えばいいのか分からない。 ほっておくこともできないし……。  もう面倒くさい。どうとでもなればいい。 「じゃあ俺が一緒に死んでやるよ」 「はい?」  泣きながら暴れていた少女の動きが止まる。  意味が分からないんだろうな。
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