プロローグ 死にたがり

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しかし、親は人殺しで家族に暴力をふるい、学校にも行かせてもらえず、家に閉じ込められたまま、という環境だったらどうだ。 悪い方向に成長していく様子が容易に想像できる。  人間は生まれる場所を自分で決めることができないから、人間の価値は生まれた時に大体決まっているといえる。 劣悪な環境から成功した人間は確かに存在する。 だが、その例はごく少数であり、生まれる前から逆境を跳ね返すことのできるほどの強気な性格と才能を持った人間だと解釈すれば説明できる。  三つ子の魂百までというが、人間の本質はほとんど変わらない。 つまり、生まれた瞬間から生きていい人間と死ぬべき人間ははっきりと分かれている。  そして重要なのは、この俺、風上翔が生きるに値する人間であるかということだ。
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