プロローグ 死にたがり

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 家と学校はギリギリ自転車通学を許された距離なので、歩いて帰ることもできる。 そういうわけで、気分転換に今日は歩いて通学してみたが、この憂鬱な気分は晴れない。 この精神はどうしようもないほど駄目のようだ。  死ななきゃ直らないというより、心の底から死を望んでいるのだろう。 日が落ちる手前、夕日がこんなにも美しく輝いているというのに、俺は何も感じない。 活気のあるスーパーや車道を通る車。 横を通り過ぎて行った自転車や周りにいる人。 その全てがどうでもよかった。 いっそ俺の目の前から消えて、二度と現れないでくれ。 一人にさせてくれ。  自分を死ぬべき人間だといいつつ、俺は自分から死ぬ勇気がない。 一人で死ぬ死ぬ言い出して結局は何もしないクズだ。 さっさと死ねばいい。  どうしても死ぬときに、苦痛を味わうのが怖いのだ。 だが、ササッと一瞬で自殺することができれば、苦痛を味わずに済むはず。 誰かが、自殺すると残された人に大きな負担やショックを与えると言っていた気がするが、知ったことではない。 死んだらこっちのものだ。
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