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俺の心の中で誰かがささやく。
『何を躊躇しているんだ。死んだら痛みは一瞬だぞ』
でも
『いいから早く行け』
でも
『行け!!』
繰り返された言葉は魔法のように、俺の体を動かす。
足を動かせたのは俺なのか、それとも俺ではない誰かなのか。
別にどっちでもいいか。
点字ブロックの上から一歩、俺は車道に出ようとして――。
ふと右を見た。
同じ学校の制服を着るその少女は、なにやら思い詰めたような表情で、ただ向こうから来る車に合わせて、右足を、あげた。
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