12/20
前へ
/216ページ
次へ
美琴が、もごもごと言いにくそうに話し出す。 「…怖いDVDを最後まで泣かずに見れたら、……ご褒美に、教えてくれるって、お姉さんたちが」 「うん、何を?」 「……牧瀬の、初恋の相手のこと……」 「……は?」 初恋? 俺の? ……それって…。 「……美琴」 「ご、ごめんなさいっ。 なんだかお姉さんたち相手に、引くに引けなくなっちゃって……」 「そうじゃなくて。 なに? 俺の初恋の相手を知りたかったの?」 「し、知りたい、けど…。 勝手なことして、ごめんなさ…」 「バーカ」 「!? まっ、まひせっ!! なひすんの……っ」 ムギュッと。 美琴の鼻を摘まんでやった。 慌てふためいている美琴を軽く睨みながら、不機嫌を隠さずに口を開く。 「バカじゃないの。 自分のこと聞いてどうすんの」 「……へ」 「俺の初恋は、目の前にいるこの女の子だって。 …何回言わせる気なの」 「!! ま、まき――」 一瞬にして顔を赤くした美琴から手を離すと同時に、唇を重ねた。 そのままいきなり舌を突っ込むと、美琴の身体がビクンと揺れる。 綺麗な黒髪の中に指を差し入れ軽く引き寄せると、美琴はどうしようもない、といった様子で、ギュッと目を瞑った。 俺に翻弄されているその表情を見て、「ざまあみろ」なんて気持ちになってしまうのは……。 ……間違いなく、俺はあの双子と血が繋がっている証拠だ。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29207人が本棚に入れています
本棚に追加