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わざと音を立てて、絡み付くようなキスを繰り返す。 するり、と。 スカートから露になった太ももに手を伸ばすと、しっとりと手のひらに吸い付くような感触に目眩がした。 「……美琴……」 「…ひゃっ、…」 このままキスを続けていたら俺の理性の方がどうにかなりそうだったから、冗談ぽく美琴の耳朶に噛みつく。 美琴は多分、耳が弱い。 だけどそれはまだ感じるとかの域じゃなくて、くすぐったい、に近いんだろうけど。 そのまま耳の形に合わせて舌を這わせると、ふるふるっと、美琴が小さく震えた。 「…や、…昂…。 こ、こしょばい……」 「……何言ってんの。 自分が作った状況でしょうが」 「…なっ、なにが…っ。 ……って、ちょっと待っ…」 「しーっ」 しゅるっと。 制服の赤いリボンをほどくと、美琴は慌てたように俺の肩を押した。 片手はボタンにかけたまま、俺は美琴を見下ろして人差し指を口に当てる。 「約束忘れて名前で呼ばなかったこともだけど、何の疑いもなくベッドに座ったりするからだよ」 「…!?」 「…こんな風に押し倒されるなんて、微塵も考えてなかったでしょ」 「いや、あの……」 「……隙だらけ。 だから可愛いんだけど」 「!!」 美琴の顔が、カアッと赤く染まった。 黙ってしまったことをいいことに、ボタンを外して、首筋をペロッと舐める。 「…あ、…ちょっ、待っ……」 「我慢してね、色々。 …下階に、姉ちゃんたちいるし」 「……や…」 事を察した美琴は、ますます身体を熱くして目を潤ませた。 それを見下ろす俺は、にっこりと、我ながら意地悪な笑顔を向ける。 「聞こえたら恥ずかしいでしょ。 声、我慢してみようか」
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