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「…ゃっ」
だけどやっぱり俺は男だし。
会話をしてなんとか平常を保とうと努めてはいても、美琴の素肌に触れるこの手は、彼女の反応を探るように動いてしまう。
「…ね、美琴」
「…っ」
「…ちょっとだけ、だめ?」
「……」
耳に唇を寄せて囁くと。
観念したのか訳が分からなくなっているのか、美琴は小さく、こくっと頷いた。
…よしっ。
心の中でガッツポーズをしてしまった。
だってここまで来るのに、どれだけ時間をかけたことか。
馬鹿馬鹿しい達成感に浸りながら、美琴の制服の胸元をゆっくり開いていく。
耳から首筋、鎖骨にかけてキスをして、――ようやく、念願の眺めに浸ろうとした、その時。
「美琴ちゃーん!昂ちゃーん!」
「コーヒー淹れたから、一緒に飲も…」
「……」
「……」
バーンッと遠慮なく開かれたドア。
俺と、美琴と、ミカとリカ。
四人が一気に、ピキリと固まった。
「…え、と。
ごめん、まさかホントに最中だと思わなくて…」
「だって、お約束でしょ…?
こう、…二人がイチャイチャしてるときに邪魔する、って」
「ねぇ? いや、まさか本気で邪魔するつもりじゃなくて」
「か、軽いノリだったんだけど…、ははっ…」
双子は、引きつり笑顔で慌てている。
…いや、この展開はお約束だけど。
お約束、過ぎるだろ。
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