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ちょこんと。 両手でペットボトルのミルクティーを抱えながら膝を立てて座る美琴は、多分、緊張してる。 だけど決して、目は逸らさない。 意外と肝が座ってんだな、と思ったり。 彼女の見つめる先にある揺れる影が、段々と形を露にしていく。 ゆっくり、そしてたっぷりと時間を懸けて近付くそれに、美琴の肩が予感に震えた。 「……美琴」 「…な、なに…」 「…大丈夫? ……嫌なら、やめたって…」 「…大丈夫、……大丈夫、だから…」 「……」 怯えた声を出しながらも頑なな彼女に、俺は黙るしかない。 その間も美琴は、そこにピタリと視線を定めたまま。 ……知らないよ、もう。 今からそんなんじゃ、持たないと思うけど。 体勢を変えようとして、ふと、美琴のミルクティーの蓋が開いたままなことに気付く。 硬直している彼女の手からそれを抜き取り、蓋をきつく締めた。 「…覚悟はいい?美琴」 「…う、うん…」 「大丈夫、力抜いて…。 …“来る”って分かってれば、怖くないから…」 「……ぅ」 「…美琴、怖いなら――」 ふるふると震え始めた美琴をたしなめようとした瞬間。 「んぎゃあーーーーっ!!!」 「ぎょわわわぁぁあっっ!!」 全く同じ声が二つ、悲鳴を上げた。 ………俺の後ろで。
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