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……聞き耳を立ててくれる方が、いくらか良かったかも。 陰湿なことはしないとは思ってたけど、お約束的なことはやっちゃうんだ、この人たちは。 しかも、全てノリで。 えへへー…、と、気まずそうに笑うだけの双子に、イラッと来た。 「…こ、昂っ!?」 「「こらこらこらーー!!」」 そのまま美琴の首に顔を埋めて続きをしようとしたら、美琴にバンバンと背中を叩かれた。 それだけじゃなく、双子も駆け寄り、美琴からベリッと引き剥がされる。 「人前ではれんちなことするとは何事なの!」 「そんないやらしい子に育てた覚えはありません!」 「あわわ…、お、お姉さんたち……」 顔を真っ赤にして起き上がる美琴の前に立ちはだかる、仁王立ちの双子。 ……この状況を作ったのは他でもない自分達だって、忘れていらっしゃる。 「……じゃあ早く出てってよ。 途中だったんだから」 ベッドの下に投げ出されて、ふてくされた俺がそう吐き捨てると、姉たちの纏う空気が一変した。 「……昂ちゃん、お姉ちゃんたちにそんな口を聞くのね」 「そうなのね。 残念だわ」 わざとらしくため息をついて、ハモりながら一言。 「「そんなに、足つぼマッサージをして欲しいのね?」」 「………」 「……え? あ、足ツボ……?」 ポカンとする美琴に、顔面蒼白の俺。 俯いて、「ごめんなさい」と小さく呟いた。 ……ああ、カッコ悪い。 でも、だって、……めちゃくちゃ痛いんだって、あれは。 「「分かれば、いいのよ」」 …なんで俺、この双子の弟に生まれて来ちゃったんだろう……。 完璧に同じ笑顔を向ける双子の姉を見ながら、泣きたくなった。
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