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「っ!!」
美琴はというと、“それ”よりも二人の悲鳴に驚いたらしく、耳を塞いでうずくまった。
「……大丈夫? 美琴」
「…あ、うん…。
ビックリした……」
眉を下げて苦笑いを浮かべる美琴を、よしよし出来ないのが悔しい。
だって俺、両手塞がれてるし。
なんでって、原因はこれだ。
「見たっ!? 今の見た!??
顔っ…、画面にバーンてっ!!」
右から髪の長いミカが叫ぶ。
「昂ちゃんも美琴ちゃんも見てた!??
ヤバイヤバイっ! これ、怖すぎっ!!」
左にいるショートカットのリカが興奮する。
「……もう、いい加減にしない?
…姉ちゃんたち……」
そして俺は、勘弁してとばかりに嘆く。
テレビ画面には、いかにもヤラセ的な怪奇現象を特集したDVDが流れている。
“それ”とは、ドーンと効果音と共にドアップで写し出された血まみれの顔のこと。
……なんで幽霊なのに血がついてんだ、って突っ込みどころは満載のはずなのに。
このウルサイ双子は、いつもながら近所迷惑な悲鳴を上げたというわけだ。
ただし、俺の肩を目隠しに使って、だけど。
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