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来週こそは。
……あの双子を何とかしなければ。
心の中で変な気合いを入れて、携帯を取り出す。
美琴に電話しようとして、――やめた。
…今、また声聞いたりしたら。
多分、上手いこと言ってこっちに呼び戻しちゃうと思うし。
そうしたら、……どうなるか判らない。 色んな意味で。
「……」
それもいいかな、と流れつつ、いやいやダメだろ、と思い留まり、メールだけで我慢することにした。
『送信完了』の表示を見て、携帯を閉じる。
外灯の下に停めてあった自転車に跨がり、妙にほくほくした気持ちと、体の熱を燻らせながら、ペダルを踏み込んだ。
……それにしても。
“きっぺい”、か……。
なんとなく、その名前に引っ掛かりつつも、深くは考えなかった。
まあ、珍しい名前ってわけでもないか……。
その時はまだそれくらいにしか思わずに。
すぐに“きっぺいくん”は、俺の頭から消えていた。
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