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こいつは、1年生のときから目立ってた。 外見もそうだけど、いわゆる、“女好き”とか“遊び人”ってやつ。 取っ替え引っ替え、連れてる女の子は毎回違うくて、だけどその全員が“彼女”だったかと言えば、そういう訳でもないらしい。 華やかな外見を武器に、本能のまま動いてしまう、そんな男だ。 1年のときはまるで接点がなかったけど、2年で同じ図書委員になって、なんとなく話すようになったけど。 「…俺、いつか神宮は女の子に刺される気がする」 赤くなっている頬を見ながら言うと、神宮はふはっ、と噴き出した。 「怖いなー。 一応、全員あと腐れなく終わらせてるつもりなんだけど」 「神宮さんが言ってたよ。 “アイツと双子と思われるのが嫌だ”って」 「切ないねぇ。 俺だって好きで双子やってるわけじゃないのに」 「…ま、お前はともかく」 「ともかくって何だよ」 「妹とは言え、神宮さんは女の子なんだから。 あんまり、そういう生々しいのを晒すのは、やめたら」 「……」 神宮が、真顔で俺をじっと見つめる。 「……なに?」 「…牧瀬、お前…」 「?」 「……もしかして、…一華に気があったりすんの?」 「なんでそうなるんだよ」 盛大に、ため息。 どうしてそういう考えに及ぶんだ。 「俺、彼女いるの知ってるだろ。 他の子にまでちょっかい出すほど余裕がないの、お前と違って」
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