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自分の境遇を呪いたい。
……なんでこんなことになってんだ。
水曜日。 親は不在。 家には彼女。
なのになんで、『ほんとにあった呪いのビデオ』なんて色気のないものを観賞しちゃってんの。
「当たりだねー、これ!
相当怖いのばっかりじゃん」
「この前のはイマイチだったからね。
やっぱ洋モノより日本モノ!」
「怖さのジャンルが違うじゃん。
血がドロドロビシャーッてのは外人だから怖いんだよ」
「あー、それは一理あるね」
………。
…どうでもいいから、手を離してくれ。
「あ、次始まった!
美琴ちゃん、大丈夫?」
「…あ、はい…」
「面白いでしょ!? 美琴ちゃん、ゾンビより幽霊のが好きって言ってたもんね!」
「…ハハ…、まあ…」
「……美琴、この人たちに合わせなくてもいいから…」
「……」
俺の足の横、ラグに座ってソファにもたれている美琴は、こっちを見上げて困ったように笑顔を浮かべた。
ていうか、そもそも俺の隣にいるのが美琴じゃなくて姉だっていうのが、間違ってる。
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