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あくまで、美琴はマネージャーとしての仕事をしているだけで。
だけどあんな風に身体を寄せあって楽しげに談笑している様子を見ると、……なんか、嫌だ。
…あんな下心丸出しの視線に、どうしてあんなに無防備でいるんだか…。
「…牧瀬。 どう、どう」
「は?」
「眉間。
…シワ寄せすぎだろ」
「………」
笑いを堪えたような三原に言われて、
俺は黙って、眉間をさすさすと擦った。
…頑張れ、俺。
こんなことくらいで心乱して、どうする。
まるで座禅を組んだ修行僧のように、ざわつく思考から平常心を手繰り寄せていると、
「牧瀬ーーっ」
と、下から声が掛かった。
見ると、海藤がこっちに向かって手を振っている。
そして。
「眉間にシワーーっ!」
と、愉しそうに叫んだ。
堪らず、三原が吹き出す。
「………」
今度は、眉間をぐりぐりと押してみる。
……恥ずかし。
そんなに睨み付けてたのかな、といたたまれなくなっていると、海藤の声に気付いた美琴が、こっちを向いた。
「……牧瀬…!?」
美琴は予想通り、少し恥ずかしそうに顔を赤らめて驚いていたけど。
俺はそれを楽しむ余裕がなく、辛うじて笑顔を作り、ヒラヒラと手を振るしか出来なかった。
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