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そりゃあ、私服の俺が、違う学校の女の子と一緒にいれば、そんな風に見られてしまうのは仕方ないと思うけど。
義理はないけど、一応、紹介しとくべきなのか……?と、思って口を開こうとした。
その時。
「……一華、ちゃん……?」
先に声を出したのは、後ろにいた美琴だった。
驚いて、振り返る。
美琴は、驚いたように目をぱちぱちさせている。
対する神宮一華も、あんぐりと口を開けたまま、佇んでいた。
……え。 知り合い?
てことは、……。
と、一瞬にして、色んなことが頭を巡った時。
バンッ、と、勢いよく、昇降口のガラス戸が開かれた。
外の冷たい風と一緒に、あの、よく通る声が、耳に入ってくる。
「いっちゃん、置いてくなよー。
幽霊部員の俺だって、合同練習くらいは参加しないと……、って、…ありゃ、牧瀬?」
「……神宮……」
マフラーをぐるぐる巻いた神宮が飛び込んで来て――、俺の後ろに、視線を向けた。
そして、何故俺がここにいるか
、とか。
そんな疑問を挟む余地もなく、――彼女を、見つける。
多分、……神宮一華のそれよりも、早く。
「………ミィちゃん………?」
その瞬間、バラバラだったはずの“偶然”のパズルのピースが、ピタリとはまった気がした。
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