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始まったのは、先々週から。
看護師をしている母親は夜勤だし、大学で准教授をしている父親も深夜まで帰らない。
この水曜日に、彼女を連れ込むっていうのは自然の法則だったりするわけで。
正直、めちゃくちゃ時間をかけたと思う。
美琴自身が“来たい”と思ってくれるまで。
焦らせないように、というか俺ががっつかないように、出来る限り、そんな空気に持っていかないようにと、慎重に。
それで、やっとだ。
やっと、先々週の水曜日、“それ”をすることを前提としてうちに来ることになった。
『やらしいことするよ?』って、最後の最後まで茶化して確認したけど、あの時の鼓動の速さって言ったら。
『なら行かない』なんて言われたら、しばらく立ち直れなかったかも知れない。 本気で。
恥ずかしがりながらも頷いた美琴を見て、ぞわっと全身に本能が駆け巡って。
……空気が冷たい時期で良かった、なんて、初めて冬を有り難いと身体中で感じたとは、間違っても美琴には言えない。
それで、先々週からは、水曜日は公園じゃなく俺の部屋で、って言うのが暗黙の了解になった……はずなのに。
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