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急に踵を返した俺に慌ててついてくる三原と階段を降りると、体育館から、練習を抜け出してきた海藤がひょっこりと姿を現した。
「帰んの?」
「うん。
練習試合、頑張って」
「川崎呼んでこようか」
「……いや、いいよ。
…忙しそうだし」
そう言うと、海藤は体育館に目をやり、神宮にボール出しをしている川崎を見て、苦笑いを浮かべた。
「幼馴染みだってな。
あのイケメンと」
「ああ、…聞いた?」
「目、光らせておこうか。
川崎になんかちょっかい出したら……」
「いや、大丈夫」
海藤の気遣いを、俺はやんわりと断る。
「美琴のことは、美琴から直接聞く。
俺には隠し事できないだろうから」
というか、させない、が正しいんだけどね。
笑顔でそう言う俺に、海藤と三原がひくっ、と引きつった。
「牧瀬って、…意外と、独占欲強いんだな」
「意外? そのまんまだろ」
「ほんと、お前って川崎さんのことになると性格変わるな」
「うるさいよ。
それより、海藤」
「ん?」
俺は、にっこり笑って訊ねた。
「今日の解散予定って、何時?」
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